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歯の噛み合わせ治療ってどんなもの

歯の治療というと虫歯や歯槽膿漏などが一般的ですが、噛み合わせを調節する「咬合(こうごう)治療」というのをご存知ですか?
欧米では100年程前から歯の噛み合わせと全身の関係について研究されていました。日本において関心が高まってきたのはここ10年ぐらいのことです。
噛み合わせのずれが身体全体のずれにつながる場合があり、たかが歯とばかにできないものがあるそうです。BBO理論に基づき「咬合治療」を行っている幸田洋一さんに伺いました。

Q.BBO理論とはどういうものですか?
A.「B」はBio・バイオ(生体)、次の「B」はBalanced・バランス(平衡、調和)、そして「O」はOcclusion・オクルージョン(咬合、噛み合わせ)を意味します。つまり噛み合わせによって生体(全身)の正しい調和を取り戻そうという理論ということになります。よりよい噛み合わせが、生命を維持する上で重要な役割を果たしていることが解明されてきました。ですから本来の正しい噛み合わせを取り戻すことで身体の健康を実現しようというものです。

Q.噛み合わせと歯並びの矯正とは違うのですか?
A.そうです。歯はでこぼこに生えたりねじれていると、食べ物のカスがたまって虫歯や歯槽膿漏になりやすくなります。また両方できちんと噛めないといった咀嚼や発音や嚥下が十分機能しなかったりするわけです。そうならない歯並びを整えるのが矯正です。見た目にもきれいになります。
ところが噛み合わせを直すというのは、上下左右の歯がきちんと同じように、しかも同時に当たっているのか、前後左右のバランスはとれているのか、噛んだ時に同じように力が加わっているのか、顎は左右同じように動くのか、咀嚼に関わる筋肉は同じように作用しているのか、というようなことを調べ治していくのです。それらを正すことによって体のバランスも整い、その人が本来もっている自然治癒力を高めることが出来るのです。

Q.なぜ噛み合わせのずれで身体に症状が出るのですか?
A.人間は地球上で生活する以上、常に重力の影響を受けています。そして重い頭を二本足で支えるためには身体のどこかでバランスをとらなければなりません。それが頭部(顎)と肩と腰になるのです。直立姿勢のときに身体の重心は腰にあります。ところが頭の重心は首にあるのではなく、それより前方の顎間接の上部にあるのです。この2つの重心が同一直線上にあってこそ、バランスのとれた姿勢であると言えるのです。
ところが、頭蓋骨は23個の骨が縫合(ほうごう)と呼ばれる関節の一種によってつながってできています。つまり動くということです。噛み合わせがずれると当然、顎の関節にもずれが生じます。そして頭蓋骨の様々な部位に影響を及ぼし、あちこちで歪みが生じてくるのです。
このように頭蓋骨に歪みがおこることで、頭部の重心は狂ってきます。このままではまっすぐに立っていられません。ですから何とかまっすぐに立とうとして肩や腰の位置がずれたり、首や背骨が曲がってしまうのです。無理な姿勢を強いられることで筋肉疲労が起こり、肩凝りや腰痛、頭痛が生じたり、首や背骨を通っている神経が圧迫を受けることで、しびれ等の様々な神経症状が起こるのです。こうなってくると顎関節症は顎だけの問題では収まりません。不定愁訴といわれるものの中には、噛み合わせがずれることによって起こるものが多いと最近では考えられています。

Q.自分で噛み合わせが悪いとわかるのですか?
A.わかる人もいれば、そうでない人もいます。たとえ噛み合わせがずれていたとしても、そのずれた状態で何とか機能を保とうと身体の方が変化することで対応するようになります。ですから、本人は気づかないこともあるのです。
しかし、顎が鳴ったり口が開きにくいといった症状のある場合は別です。噛んだ状態から顎が左右同じように動かなかったり、抜いたまま放置している歯がある場合などは問題があります。
鏡で顔を見た場合、どちらか一方の口がつり上がっていたり、鼻が曲がっていたり、左右の顔の長さが異なっていたりする場合も、噛み合わせがずれている場合があります。

Q.噛み合わせがずれている人は増えていますか?
A.子供の頃から軟らかい食べ物を好むせいか、顎が未発達の状態で歯が全部並びきらず、噛み合わせが歪んだままの状態の人が増えています。
また人間の身体は本来左右対称にできているのですが、片肘をつく、テレビを見ながら食事をとる、寝る方向やカバンを一方の肩にかける等といった片寄った生活習慣によって、どちらか一方に重心がずれてしまうのも一つの原因です。若いうちは身体の歪みに対して柔軟に対応できますが、年齢を経て来ると対応しきれなくなり、不定愁訴といったような身体の諸症状となって現れることがあります。

Q.噛み合わせがずれないように出来ますか?
A.なんといっても子供の頃が重要になります。母乳で育てる、歯固めをする、成長にあわせて食べ物の種類や固さを調整し噛んで飲み込む訓練をする、といったことが必要になります。相対的に食事における噛む回数が減っていることが問題で、歯ごたえのある食事やよく噛むことが大切となります。顎は刺激が足りないと十分に発達しません。全ての歯が並ぶ大きさに顎が成長してくれることが望ましいことです。
また虫歯等により歯の生え代わりがうまくいかない場合も問題があります。こういった場合咬合誘導といって、人為的に歯の生え代わりを誘導してやることで正しい噛み合わせを得られることもあります。

Q.具体的にはどんな治療をするのですか?
A.患者本人の歯型、レントゲン写真、全身写真等から診断し、その患者自身にとっての理想的な歯の噛み合わせの位置を求めます。そしてその位置と実際の歯のずれを調べていきます。
理想的な噛み合わせの位置が決まったら、その位置に全ての歯が並ぶようにもっていきます。子供の場合は咬合誘導や矯正といった方法で自分の歯を並べることが出来るのですが、大人の場合は高い歯は削り低い歯は人工のもので足すことになります。それがスプリント(マウスピースのようなもの)です。スプリントを口の中に入れることによって噛み合わせのバランスを整えていくのです。

Q.違和感はないのですか?
A.口の中に入れるので、慣れるまではしゃべりにくかったり、唾液がたくさん出たりします。取り外しは自由で、食事以外の時は出来るだけ入れておきます。
スプリントを装着することで噛み合わせは徐々に変わってくるので、その変化に応じて調整をしていきます。年齢や筋力や歪みの程度により、調整が長期にわたる場合もあります。

Q.費用はどのくらいかかりますか?
A.この治療は特殊なので保険の適用は受けられません。
個々の患者によって噛み合せのずれの程度や症状も異なっています。また年齢や体格、患者のニーズによっても、治療方針や治療期間、最終的な歯の入れ方は変わってきます。ですから一概に一律いくらといったものではありません。噛み合わせがどのようになっているのか、診査をした上での話となります。
・症例1
23歳の学生。中学時代からはげしい偏頭痛と腰痛に悩まされ、鎮痛剤も殆ど効果がなかった。噛み合わせの診断の結果、右上の奥歯が高いため、噛みにくさを補おうと顎を前に出してしまう。それを支える筋肉が疲労して頭痛につながっていたことがわかった。何度か噛み合わせを調整すると、数ヶ月で頭痛と腰痛がなくなった。

・症例2
30歳の主婦。2年前から不眠症になり、体はいつもだるく、ときどきひどい頭痛、さらに便秘と腰痛があった。口腔内を調べると右上の歯が高いために、頭部のずれが起こっているのが分かった。高い歯を削り、噛み合わせを正常にさせると、頭の傾きがなくなり、頭痛から開放、そして長年の便秘も治った。

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